太らないメカニズム
本来、すべての生き物には「現状維持」をするためのメカニズムがあります(医学的にはホメオスタシスと呼びます)。
現状維持機能のおかげで、走って上がった心拍数も、しばらくすれば元に戻りますし、指を切っても出血は止まります。
つまり、現状維持機能は、行きすぎた何かをストップする機能でもあります。
走りなれていない人が全力疾走をしても、50メートル持たず、苦しくなって歩いてしまうのも、「これ以上心臓を酷使したらやばいよ!」と体がストップをかけているのです。
実は、体重にも現状維持機能の影響下にあります。
体重は、「食べる量」と「体が消費する量」でバランスが取れているはずです。食べ過ぎると、胃腸も酷使されるので、カロリーの消費も増えますし、翌日は食欲がなくなります。断食をした場合、胃腸はほとんど動かないのでカロリーの消費が減りますし、翌日おなかがすきます。
それなのに、なぜ「太る」レベルまで「食べ過ぎ」てしまうのでしょうか?
というか、そもそも「太って」いるのか、「食べ過ぎて」いるのか疑問です。
体脂肪に蓄えられているエネルギーは、7000kcalといわれています。
20歳の時に45キロだった女性が、毎日平均2000kcalを食べ続けていたとします。50歳になった時に50キロになっていたとしたら、それは35000kcal余分なカロリーを30年間とっていたことになります。
摂取していたカロリーが30年間で21,900,000kcal、そのうち余分なカロリーが35,000kcal。つまり、たった0.15%の余分なカロリーを摂取していただけなのです。
一か月、100kcal未満の「余分」です。
つまり、一か月に一本のジュースを飲んでいただけ。
「食べ過ぎ」と言えるか?と思うレベルですよね。
特に何も意識せず、普通にしていなければ、あなたの体の「現状維持」装置は、99%以上正確ということです。
机上の空論?
では、昭和40年の統計を見てみましょう。20歳の平均体重は、50.5キロで、平成23年度の50代の平均体重は54.9キロです。
つまり、上記の例よりも0.8キロ少ない、4.2キロしか増えておらず、やはり現状維持機能は99%以上正確ということになります。
私がびっくりしたのは、昭和24年と昭和56年の比較です。
http://www0.nih.go.jp/eiken/chosa/kokumin_eiyou/index.html
昭和24年 20歳の平均体重は51キロ
昭和56年 50代の平均体重は52.4キロ
つまり、30年間でたった1.4キロしか増えていないのです。
99.96%の正確さです。
やっぱり、現状維持機能は存在する。としか思えません。
ですが、現実問題、体重が何キロも増加してしまう人も実在します。
高校生の時は50キロ程度だったのに、大人になってから80キロになってしまった人もいるでしょう。
これは、現状維持機能が何かしらの理由でうまく働かなっている・・・ということしか考えられません。
次回、現状維持機能がうまく働いていないのかを詳しく見ていきます。