太るメカニズム
前回、現状維持機能の影響を受けている体重は、増えないはずである。ということを書きましたが、今回は「なぜ太るのか」を書いていきます。
体重はそもそもどうして維持されているかというと、脂肪細胞は自律神経、ホルモン、脳の中のセンサーなどの影響を常に受けているからです。現状維持機能=自律神経、ホルモン、神経伝達など体の様々な機能です。
食べる量が変わらなくても、刺激のバランスが崩れてしまうと、現状維持ではなく「太る」「痩せる」ということが起きてしまいます。
何も問題なければ、体重は現状維持されます。
太るのは、何かが体重維持機能を邪魔しているからです。
摂取カロリーが消費カロリーを大幅に上回ると太る。
ということをさんざん聞いている人は、「違うよ。食べ過ぎているから太るんだよ」と思うかもしれませんが、生き物の体の仕組みはもっと複雑です。
現状維持機能が働いている限り、摂取カロリーがたとえ増えても、消化のために消費カロリーも増え、一日の消費カロリーが増え、結局はバランスが取れてほとんど体重が増えないからです。
増えたとしても、体重と比例して基礎代謝も増えるので、結局は体重が元に戻る。
本来、そういう風に体はできているのです。
ですが、実際問題、体重が増えてしまう人も大勢います。
その理由は、実のところよくわかっていません。
たくさんの研究がなされ、たくさんの論文が発表されましたが、どれも肥満の解明には「少し」貢献しても、全体像を見るには至りません。パズルのピースは足りないのです。
レプチン
グレリン
インシュリン
成長ホルモン
女性ホルモン
iGF
BMAL1
脳下垂体
褐色脂肪細胞
などが体脂肪や肥満につながっていると聞いたことがあるかもしれませんが、実はすべてパズルの1ピースで、仮定的で(「ニュートンの法則」など、「法則」という名前がついているもの以外、科学の世界では「仮説」にすぎない)、全体像を見るのには全然足りていないのです。
体脂肪が増える謎、減りにくい理由、それはまだまだ不思議の世界のお話なのです。
そして、専門家(研究者)にとっても、わかりにくく、難しいお話なのです。
肥満のエキスパートのような顔をしているお医者さん、スポーツジムのインストラクター、マルチ商法のマネージャー、テレビに出てくるスペシャリストは、「ほとんど何もわかっていません」。何もわかっていないからこそ、したり顔で説明ができるのです。
このブログでは、なるべく論文をもとに、最新の仮説を取り上げつつ、太るメカニズムを分かりやすく読み解いていこうと思います。10年後には違う仮説が主流かもしれませんが、現時点では「現状維持機能に何かしら支障が出ているせいで、体重が大幅に増える」というのが説得力のある仮説かと思います。
記事が一通り書けたら、上記のダイエットにかかわる体内の成分についても記事を上げていきますが、しばらく「現状維持機能」の話が続きます。